「かまぼこ」の咀嚼は脳・神経系を活性化させる
【主任研究者】 石山育朗(國學院大學栃木短期大学)  2003年


研究タイトル:かまぼこ咀嚼時の血圧、心拍出量および脳血流量の変化

【研究目的】
最近の研究では,食べ物咀嚼時に脳血流量が増加し脳の機能を活性化させると考えられ、なかには痴呆を防ぐ可能性も指摘されています。高齢者の場合,非常に硬いものを噛むと著しく血圧が上昇することが報告されています。我が国で昔から馴染み深いかまぼこは,程よい硬さの食品と考えられており,毎日のメニューに加えて食べると脳を刺激し,脳機能を活性化させる可能性があります。この研究は噛みごたえある食品として「かまぼこ」の咀嚼による血液循環機能への影響を明らかにするために行われました。

【研究成果】
この咀嚼実験では、健康な20〜39 歳の男性11 名を被験者として、かまぼこを噛んだときの1)心拍数、2)血圧、3)心拍出量、4)総頸動脈の血流量、5)鼓膜の温度などを測定しました。その結果,かまぼこを噛むと心拍数,血圧,総頸動脈血流量,心拍出量が増加しました。被験者には,同じ量,同じ大きさのコンニャクを全く同じ実験方法で対照咀嚼実験をしました。実験終了時の鼓膜温はコンニャクに比べて高くなりました。この事からかまぼこを噛むことは、一時的に血液循環と代謝機能を促進させ、交感神経系だけでなく副交感神経系双方の活動を高め脳・神経系を刺激することが分かりました。