かまぼこ製品は脳内酸化ストレスを低下させる有用な抗酸化食品である
【主任研究者】 神奈川歯科大学生体管理医学講座薬理学分野助教授 李 昌一  2004年


研究タイトル:電子スピン共鳴(ESR)法を用いたかまぼこ製品(水産練製品)の脳内抗酸化能評価

【研究目的】
 活性酸素?フリーラジカル*による酸化ストレスが生活習慣病や,アルツハイマー病
などの神経変性疾患の有力な原因の一つであることが知られている。私共の教室で
は活性酸素?フリーラジカル種を唯一直接的に測定可能な電子スピン共鳴(ESR) *法
による酸化ストレス評価法を用いて,かまぼこ製品(水産練製品)の活性酸素?フリーラ
ジカルによる酸化ストレスへの消去能すなわち,「抗酸化能」を評価した。

【研究成果】
 疾患モデル動物である自然に高血圧に罹りやすいラット(SHR)と脳卒中に罹りやすいラット(SHRSP) を用いて, ESR 法によるSHR とSHRSP の脳内酸化ストレスに対する効果を検討した結果,餌としてかまぼこと通常食を与えた場合は通常食のみを与えた場合と比較してSHR の脳内酸化ストレスを低下させた(図参照)。SHRSPの場合も同様の結果が得られた。また、抗高血圧効果も同時に確認された。これらの結果から、かまぼこは高血圧症や脳卒中をひき起こす脳内酸化ストレスを低下させる有用な抗酸化食品であることが示唆された。


高血圧自然発症ラット(SHR)におけるかまぼこの
脳内酸化ストレスに対する効果


*活性酸素・フリーラジカル
酸素分子が水に還元される過程で生成される化学種で生体内では取り入れた酸素の3-10%が活性酸素・フリーラジカルになるといわれ,酸化ストレスを起こして様々な病気の原因となる。

*電子スピン共鳴法
電子スピン共鳴(electron spin resonance;ESR)とはフリーラジカル(ペアを持たない電子をもっている)を
選択的に測定する測定法である。